タバコの値段があがってきました。
「もしタバコを辞めることができるのであれば、辞めたい」と考える方も多いことでしょう。禁煙には数々のメリットがあります。
まず禁煙直後、周囲への受動喫煙の害がなくなり、1日から2日で血圧や脈拍数、血中の酸素濃度の値が改善されます。
味覚や嗅覚も正常に戻ります。2週間以上経過すると循環機能や肺機能が向上し、時間とともにスタミナが回復し、咳や息切れが改善します。
1年以上継続すると虚血性心疾患の超過リスクが半減し、10~15年経過すると肺がんを含む喫煙関連の疾患リスクが非喫煙者と同程度まで近づきます。禁煙後の年数が長いほど、肺がん死亡率が低下します。
タバコは肌荒れやしわ、しみの原因となり、歯周病のリスクも高めます。
禁煙によりこれらの美容への悪影響を防ぐことができます。
一酸化炭素による体内の酸素運搬の妨げが解消され、血中の酸素量が増加します。
さらに、ニコチンによる心臓への負担も軽減され、全体的な活力が増します。
経済的な面にも効果が絶大です。
たばこ代が節約でき、医療費も削減されます。
1日に1箱のタバコを吸う方が禁煙すると、
年間での家計の負担が約182,500円軽減されます。
これにより、毎月約15,200円の節約が可能となります。
これによりできることは多岐にわたり、洋服の購入から趣味の充実、国内外の旅行、車や住宅の購入の頭金まで考えることができます。
禁煙は遅すぎることはありません。
病気のリスクの減少、経済的な利益、そして周囲への影響の緩和など、禁煙は多くのメリットをもたらします。
それでもなかなか禁煙できない方に向けて、禁煙の方法3選をご紹介いたします。
1.タバコに対する考え方を修正する
タバコに対する考え方を修正することは、禁煙を成功させる上で重要です。
タバコをやめたいのにやめられない原因の一つが、タバコに対する心理的依存です。これは「タバコは自分に必要なものだ」という信念から生まれ、特に紙巻タバコはいつでもどこでも手軽に吸えるため、日常の様々な場面と結びつきやすくなります。
例えば、朝目覚めた瞬間や朝食後、車が信号で停車した時、休憩時間、玄関を開ける瞬間、トイレの中など、生活の様々な状況でタバコとの結びつきができます。
これらの瞬間をタバコなしで過ごそうとすると、口寂しさや時間の埋め合わせの難しさを感じ、心理的依存が現れます。
特にヘビースモーカーは同じ場所や同じ時間にタバコを吸う傾向が強く、特定の状況で吸わないと不安や違和感を感じることがあります。
これが習慣依存です。
心理学的には、習慣は条件づけによって形成されるとされています。
有名な「パブロフの犬」の実験がそれを物語っています。
犬にエサを与える際にベルを鳴らし続けた結果、ベルの音だけで犬がよだれを垂らすようになったというものです。
同じように、タバコを吸う時間や場所が一定になると、条件づけられてしまい、その条件が揃うとタバコが欲しくなるのです。
タバコは心理的依存を強化するために設計されています。
喫煙者はストレス解消やリラックスの効果を感じているため、
「禁煙したらタバコから得ていたメリットを失うのではないか」
という不安から手放せなくなります。
離脱症状が解消される感覚を「日常のストレスが解消された」と錯覚し、これが喫煙者を習慣的な喫煙へと導くのです。
心理的依存が強い人は、タバコに対して多くのメリットを感じていることがあります。ストレスの解消、リラックス、集中力向上などが該当します。
これらのメリットに頼り過ぎてしまうと、離脱症状を和らげるためにタバコを手放せなくなります。
習慣依存から解放される方法は単純です。
タバコと結びつく環境やトリガーを遠ざけることです。
これにより、トリガーとタバコの結びつきが緩やかになり、習慣の力が自然に弱まりま
そのためには、「レコーディング禁煙」が役立ちます。
禁煙を即座に始めるのではなく、まず2週間ほど、喫煙状況をメモに記録します。吸いたくなる瞬間や吸う場所、その時の気持ちなどを詳細に記録することで、トリガーが何かを理解できます。
タバコは自分にとって必要なものだという心理的依存から解放されることが重要です。喫煙者がストレス解消やリラックス
を得るためには、実際には離脱症状の不快感しか解消されておらず、日常のストレス解消などのメリットは存在しません。この事実を正しく理解し、「タバコには一切メリットがない」という考え方に修正することが、禁煙において極めて重要です。
2. 喫煙を別の行動に置き換える
タバコを別の行動に置き換えることは、習慣的な依存から抜け出すために非常に効果的です。特に特定の状況で無意識に喫煙してしまう方は、その注意が必要です。
タバコに対する心理的依存を克服できたとしても、禁煙後は体内のニコチンが急激に減少し、身体的な依存が強い方は様々な離脱症状に苦しむことがあります。ニコチン依存症は、一種の「脳の変性疾患」とも言われ、ニコチンが脳の構造を変え、依存症の脳を形成してしまいます。
脳内に取り込まれたニコチンは中脳の腹側被蓋野の「アセチルコリン受容体」に結合し、その信号が伝わり大脳の側坐核で「快感ホルモン」や「やる気ホルモン」であるドーパミンが放出されます。
通常、この「アセチルコリン受容体」は、脳内物質であるアセチルコリンがくっつくべき場所です。つまり、喫煙者の脳では、ニコチンがアセチルコリンの役割を奪ってしまっているのです。
しかも、ニコチンは注射よりも速い速度で脳に到達します。このようにして、タバコを吸うと迅速にドーパミンが放出され、快感が得られるため、徐々にタバコに依存してしまうのです。
結果的に、本来人間の体に存在しないはずのニコチンがドーパミン放出を支配し、ドーパミンが出た後に分泌されるセロトニンもニコチンの影響を受けてしまいます。
これにより、ニコチンが不足するとドーパミンやセロトニンが十分に分泌されにくくなり、体はますますニコチン依存になってしまうのです。
逆に言えば、他の自然な方法でドーパミンやセロトニンを引き出すことで、ニコチン依存症から解放されることができます。
その中で特におすすめなのが、「運動」です。近年の研究により、運動が禁煙に直接的な効果があることが示されています。
禁煙後の離脱症状は一般的に3日以内にピークに達し、長くても3週間程度で収束することが多いです。
これを「順調に禁煙できている兆候」と捉え、冷静に対処しましょう。
ただし、特定の状況がトリガーとなってしまい、思わずタバコを吸ってしまう習慣的な依存も同様に克服することが欠かせません。
そのためには、これまでタバコを吸っていた状況を変えていくことが大切です。
これまでの状況でタバコを吸う代わりに、水を飲んだり歯を磨いたりするなど、喫煙を別の行動に置き換えてみましょう。
禁煙時の主な離脱症状とその対処法を知っておくことは、禁煙生活を快適に過ごすために役立ちます。
離脱症状の一つ、イライラに対処するためには深呼吸をすることや、水やお茶を飲むことがおすすめです。
これらの行動はリラックス効果があり、気持ちを安定させるのに役立ちます。また、集中力が低下したと感じたら、散歩や軽い運動、深呼吸をすることで気分がスッキリし、集中しやすくなります。
眠気が襲ってきた場合、15分ほどの仮眠や熱いシャワーを浴びることで、リフレッシュすることができます。頭痛に悩まされたら、足を高くして仰向けに寝ることや深呼吸が効果的です。
特に、食後やお酒の席でのタバコへの欲求を断ち切りたい場合は、代替の行動を検討しましょう。例えば、食後に散歩をするか、ガムを噛むことで口寂しさを紛らわせることができます。お酒を飲むときにタバコを吸う習慣がある場合は、お酒の合間に水を飲むことで、口の中を潤すことができ、タバコへの欲求を和らげることができます。
3.メルマガや禁煙外来等の利用
自分の力だけで禁煙するのは不安だという方には、「禁煙外来」がおすすめです。
禁煙外来は医療機関で提供される禁煙の専門治療であり、主治医と協力しながら禁煙に挑むことができます。
最近ではその利用者が増え、禁煙に成功する手段として注目を集めています。
喫煙はタールなどの有害物質が含まれている他、主にニコチンの影響でやめられなくなることが一般的です。多くの喫煙者はニコチンに依存しており、これはニコチン中毒の状態とも言えます。禁煙治療がニコチン依存症の治療として保険適応されていることからも、その深刻さがうかがえます。
禁煙外来は、このような依存症からの解放をサポートするプログラムであり、全国の医療機関で1万7200件以上の施設で実施されています。
禁煙外来では、様々な方法が用いられます。
例えば、禁煙外来ではニコチネルTTSという貼り薬や、チャンピックスという飲み薬を活用した禁煙治療が行われています。
これらはタバコをやめたいと考える患者に対して、病院で提供される専門外来の一環です。カウンセリングや生活指導などの禁煙サポート、またニコチンガムやニコチンパッチを使用したニコチン置換療法も一般的です。
禁煙外来に通うことでの禁煙成功率は医療機関や用いる薬によって異なりますが、一般には60〜80%程度と言われています。
これは自力で禁煙を試みた場合の成功確率である約10%に比べてかなり高い数値です。つまり、禁煙外来に通えば、10人のうち約6〜8人が禁煙に成功する可能性があります。
禁煙外来の費用については、保険診療が適用される場合、一般に約2万円程度で利用できます。ただし、スケジュール通りにクリニックに通院する必要があります。
オンライン診療での禁煙外来では、自費診療が一般的ですが、まとめてお薬を処方できる利便性があります。
アドバイスや応援メール、学習機能、専門家への相談機能が特徴です。
これにより、禁煙に成功した先輩や禁煙サポート専門家からの支援を受けながら、禁煙の道を歩むことができます。多方面からの支援体制が整い、24時間365日の対応も可能です。
禁煙マラソンに参加するためには、プログラムへの登録が必要であり、禁煙への意欲や決意を持ち、プログラムの指示に従うことが求められます。
また、利用環境としてパソコンや携帯電話が必要であり、医療相談窓口などの提供もあります。
自力での禁煙が不安な方は検討してみてください。
禁煙外来を利用することで、専門家のサポートを受けながら禁煙できます。自力での禁煙が不安な方は検討してみてください。
禁煙は遅すぎることはありません。健康の向上、経済的な利益、そして周囲への影響の軽減など、禁煙には多くのメリットがあります。
しかし、なかなか禁煙できない方もいるでしょう。
そこで、禁煙の方法3選をご紹介しました。タバコに対する考え方の修正、喫煙を別の行動に置き換える、そして禁煙外来などの専門家のサポートを受けることで、成功への一歩を踏み出せるかもしれません。
自力での禁煙が難しい場合は、禁煙外来の利用も検討しましょう。